イベント/セミナーレポート

プレスリリース

イベント/セミナーレポート

BBT大学トップ > プレスリリース > 特別ワークショップ「新規事業をデザインする技術」谷中修吾先生

特別ワークショップ「新規事業をデザインする技術」谷中修吾先生

2015年06月26日

BBT 大学イベントレポート〉マーケティングセミナー

特別ワークショップ「新規事業をデザインする技術」谷中修吾講師

 

新規事業をデザインする技術v1.jpg

2015 5 24 日、ビジネス・ブレークスルー大学麹町校舎で、特別ワークショップ「新規事業をデザインする技術」が開催された。講師は、本学一年次科目「 マーケティング基礎 」と三年次科目「プロフェッショナル・ミッション」を担当する、ビジネスクリエーターの谷中修吾氏である。セミナー前半は「新規事業をデザイン」するための理論の説明を、後半は各テーブルで 3 4 名のチームを組んでグループワークを行った。参加者は、谷中氏の解説したロジカル技法とクリエイティブ技法を用いてミッションに取り組み、グループで作り上げた事業案をプレゼンすることで、新規事業をデザインするプロセスを実際に体感した。

 

谷中氏は、新規事業をゼロから形にしていく専門家「ビジネスプロデューサー」であると同時に、立ち上がった事業を顧客に繋ぐためのメディアデザインを手がける「クリエイティブディレクター」でもある。この両輪で、数々のグローバルブランドのマーケティング施策の立案・実行に従事し、政府機関の戦略立案にも数多く携わり、オールジャンルで事業開発の総指揮を執ってきた。また、 BBT 大学の専任講師であると共にラジオ DJ MC TED キュレーターも務めるなど、教育・メディアにおいても幅広く活動を展開している。

直近では、東日本大震災の直後、スターバックス、キヤノン、松下政経塾の連携による復興支援プロジェクト「道のカフェ」を立ち上げ、総合プロデューサーとして自立的な地域コミュニティ再生に尽力している。

新規事業をデザインする技術BBT特別ワークショップ_01.jpg

このプロジェクトは、岩手県陸前高田市の避難所で「そろそろ落ち着いてコーヒーが飲みたい」という声を耳にしたこと、仮設住宅の入居において知らない人同士が隣人となることでコミュニティ分断のリスクを把握したこと、「被災地のことを忘れ去られていくのが怖い」といった被災地支援に対する意識の風化が危惧されていることをキャッチしたことが発端となっている。それらの課題に対する解決案として、コミュニティ参加型で、地域の皆さんがほっと一息つけるような場を作り、その様子を全国に発信するという着眼点を結晶させたことで、谷中氏はこのソーシャルプロジェクトを実現させた。

スターバックス、キヤノン、松下政経塾といった異業種の三者による連携企画の成功事例「道のカフェ」について谷中氏は、「単体のリソースで考えようとすると打ち手が限られてしまうが、それぞれの持ち味を生かして組み合わせることで、アイデアは飛躍的に広がる。これが、新規事業をデザインすることの醍醐味である」と、イノベーションが起こる発想法として解説する。

BBT 大学で谷中氏は、学術的な経営学ではなく、現場で実践できる技術の体得にこだわった上記のような「新規事業をデザインする技術」を教えている。講義では、マーケティングのフレームワークに基づいて、 5 つのステップに分けて解説されている。

新規事業をデザインする技術BBT特別ワークショップ_02.jpg

リアルなビジネスでは、検討の順番は一様ではないことがほとんどであるが、いずれにせよ 5 つのステップを踏まえながら展開されることに変わりはない。ただ、ここで特に重要なのは、「ロジカル技法」と「クリエイティブ技法」の両方を使って思考することであると谷中氏は強調する。というのも、マーケティングでは企画書を綺麗に作るといったロジカルな技法がフォーカスされやすいが、実は「プランとしてはよく出来ていたのに、絵にしてみるとつまらないということがよくある」からだ。そこで、クリエイティブ技法を用いながら、検討する商品やサービスがあたかも存在するかのように一枚のリーフレットを作る。これによって、リアリティをもって、そのプランやサービスの面白味が判断できるようになるのだという。このロジカル(企画書)とクリエイティブ(リーフレット)を交互に行き来しながら進めていくことで、最終的には「マーケティングプランの作成」と「マーケティングコンテンツの作成」という二つの技術を体得できるようになるのだ。

このように「新規事業をデザインする技術」を説明した谷中氏は、ここで会場にいる参加者の皆さんにミッションを提示した。お題は、子供向け教育事業を展開しているフジテレビキッズ社に「ガチャピンとムックを活用したキッズ教育ビジネスを提案する」である。谷中氏が、当社の事業開発部長様から特別に出題してもらった内容である。

このミッションに取り組む上で、ガチャピンとムックのバックグラウンドは以下である。

新規事業をデザインする技術BBT特別ワークショップ_03.jpg

この条件をもとに、チームで検討して一枚の企画書を作り上げ、事業案をプレゼンしてもらうことになった。ここで、谷中氏は企画書に入れるべき要素を説明した。

 

・企画書タイトル(提案事業名):ユニークなタイトルを付ける

・顧客:誰を対象とするビジネスなのかを明示する(子供なのか、その親なのか、もしくは学校といった教育機関なのかを意識する)

・ニーズ:ターゲット顧客のどのようなニーズに着目するかを説明する

・提供価値:ニーズに対してどのような価値を提供できるかを説明する

・商品/サービス:ガチャピンとムック活用してどのようなビジネスを行うのかを説明する

 

クイックアドバイスとして谷中氏は、「ロジカル技法とクリエイティブ技法の行き来に際して、発想はクリエイティブから始まってロジカルに着地させる方が良いものが生まれやすい」と指摘した。馬鹿げた発想から面白いアイデアが生まれることも多いため、臆せず自由に発想することを参加者に求めた。

こうして一時間、グループごとに企画立案タイムを取ったあと、各チームにプレゼンをしてもらった。企画書タイトルは以下である。

・ガチャピン・ムックのゲームで英会話

・ガチャムク、ジーニアススクール企画

・ガチャピンとムックの箱庭

・ガチャピンの部屋とムックの食卓

・ガチャピン・ムックのわくわく料理教室

・ガチャピン・ムックと行く一日バスツアー

新規事業をデザインする技術DSC00830.JPG

代表して一つプレゼンを紹介する。

 

【ガチャピン・ムックと行く一日バスツアー】

顧客:孫( 3 5 歳)に好かれたいおじいちゃん&おばあちゃん

ニーズ:孫と一緒に過ごしたい

何かしてあげたいが何をしていいのか分からない

関わりたいけど勝手なことをすると親に怒られる

子供がいない時間に親も好きなことがする時間を持ちたい

価値:孫との思い出作りにカメラマンが一日同行し、ツアーの様子をテレビ放送する

DVD ・アルバムに落としてお土産として提供するので、留守番しているお父さんお母さんも、その時の様子を家で一緒に見ながら楽しめる

子供も親も祖父母も皆ハッピーになれる価値を提供

内容:午前 フジテレビ局内建学

午後 バスで移動し、漁港、野菜の産地、牧場などで採取体験→バーベキュー

普段食べている食材がどこから来るのかを知らないままでいる家庭が増えていることを考慮し、新鮮な魚が取れる漁港で地引、芋掘りやキノコ狩りができる野菜の産地で収穫、乳製品が収穫できる牧場で乳搾りといった形で実際に食材を採取しながら子供たちに理解させることがツアーのウリ

価格: 2 万円(祖父母&孫一人)

生産地の方に具材を提供してもらう代わりに動画配信などでその産地の宣伝をすることで、提供価格をほぼ押さえられることから、バス代とバーベキュー設置費用だけで済むので、 3 人で 2 万にまで引き下げられる

展開:参加者もキャンプの模様を動画配信するなどすることで、口コミで次の参加者が集まり広がっていくように設計されている

 

谷中氏は、フォーカスポイントがおじいちゃん・おばあちゃんであるところや、「孫に何をしたらいいか、どう関わったらいいか」という潜在的な声に着目して検討しているところが秀逸とコメント。また、体験型プログラムを通じて、おじいちゃん・おばあちゃんに見せ場を作ってあげられるところや、子供たちにとっても良い経験となることから、相乗効果があると高く評価。さらに、一日当たりの売上としても現実的に良い数値を設定しているモデルであることや、フジテレビを集合場所としクライアントへの配慮があることについても高得点を付けていた。

 

 最後にこのワークショップを通じて谷中氏は、「ビジネス案に対する評価は、人それぞれ違う。自分が良いなと思ったものであっても、他の人はそう感じないかもしれない。ビジネス最前線の事業開発の方々であっても、"良い"の基準は一様ではない。だから、正解はない。しかも、プランがものすごく秀逸でも、最後の最後で面白いと言えるかどうかが勝負ということがほとんど。そこがビジネスの難しいところでもあり、面白いところでもある」と言及する。

 そして、 5 つのステップを順番通りに考えることよりも、いかに自由な発想から組み立てられるかが肝要であると改めて指摘し、「ドキュメンテーションとビジュアライゼーションを行ったり来たりすることで、精度の高いビジネスプランを作っていくことにつながる。今後もそれをきちんと意識してほしい」と締めくくられた。

ロジカル技法とクリエイティブ技法を用いながら実際に新規事業をデザインするという当ワークショップは、フレームワークと自由な発想によって多くの形を生み出せることを気付かせる、参加者にとって非常に実りの多い機会になりえたようだ。

 

  • はてなブックマーク
  • Google+
  • Pocket
  • Twitter
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • Google+
  • Pocket