やりたいことは全部やれ!脱公務員から起業へ至るストーリー
大学卒業後、東京都の外郭団体として東京都の不動産事業に携わる。勤務するかたわら28歳でBBT大学に入学し、30歳でマニラの日経広告代理店に転職。現地で見つけた不都合から「noashi」の着想を得る。帰国後クラウドファウンディングを通じて170万円支援を獲得、法人化に至る。
2016年、一人の青年がアイデアを形にした。板さえあれば誰にでも簡単にテーブルや椅子などを作ることができるDIY家具「noashi」である。その製作者でありBBT大学卒業生でもある前田祐司さんに、公務員人生から脱却し「noashi」を作るに至るまでのストーリーを聞いた。
「夢中になってやれるもの」がわからなかった公務員時代
公務員時代は、決められた役割の中で毎年同じ業務をこなすという働き方に違和感を覚えていました。次第にその違和感は疑問へと変化していき、自分が夢中になれる環境で働いてみたいと思うようになりました。しかし、どうすれば働き方に満足できるのか、どのような人生を送りたいのか、という自分自身への問いに対して答えを持っていませんでした。この答えを模索していた時に出会ったのが、大前研一学長が書かれた一冊の本でした。
仕事も遊びも全力で楽しむ大前学長の生き方に感銘を受け、「やりたいことは全部やれ!」というメッセージに強く魅かれました。そこで、自分の本当にやりたいことを見つけ成長するために、大前学長のオンライン大学で学ぶことを決めました。
大学では豪華な教授陣から学び、様々なバックボーンを持つ10代から50代の同期と集合知を築き、そして「グローバル経済と経営」という大前学長科目を通じて学ぶことのできるグローバルな視点に毎週ときめいていました。もともと理系の大学を卒業してはいるのですが、大学の授業で毎週末を楽しみに待ち遠しく思う経験は初めてのことでした。
「noashi」誕生のきっかけは意外なところに
BBT大学で学んでいくうちに、海外で働いてみたいという気持ちが芽生え出しました。そして30歳という年齢を節目に公務員を辞め、マニラの日系広告代理店へ転職することにしました。マニラを選んだ理由は3つあります。1つ目は、公用語として使われる英語を勉強できること。2つ目は、経済成長期を経験したことがないので、経済成長を肌で感じてみたかったこと。3つ目は、まだまだ不自由が多い国にはビジネスのチャンスが眠っているのではないかと思えたことからです。
よく大前学長は「自分を変えるのに、決意を新たにすることは無意味。時間配分、住む場所、付き合う人のどれかを変えることが重要」とおっしゃっていましたが、そのすべてを変えたことになります。ただ、これまでの大学の専攻も職種もずっと理系の領域のものだったので、それ以外の仕事をこなすことができるかという不安はありました。しかし仕事に就いてみると、それが大した不安ではなかったことがわかりました。
マニラでは、現地の人たちと同じような生活をし、不便に思うようなことはないかを探しながら街を歩いていました。「noashi」が生まれたのも、そんな日常で感じたささいな違和感に気づいたからです。フィリピンという国は製造業などの二次産業が未成熟で、家具類もほとんどを輸入品に頼っています。そのことから、現地ローカルの平均月給からすると、あまりにも家具の価格が高いのではないかという仮説を持つようになりました。そこで同僚にもフィリピンの家具について意見を求めたところ、デザインはいいと思うけど高くて買えないという声がほとんどでした。ショッピングモールで家具を買えるのは、ごく一部の富裕層だけだということを知り、そのことから、中間層向けに家具を提供したいと考えるようになりました。ちょうどその時、アメリカのクラウドファンディング「キックスターター」で、板に簡単に取り付けてテーブルにすることができる脚が$250,000を集めたことを知りました。これなら自分が考えていることを実現できるのではないかと思い、「noashi」の製作が始まりました。
大事なことは、行動を起こすこと
勤めていたマニラの広告代理店を退職した後、「noashi」の製品化に向けて行動を起こしました。もともと図面は描くことはできたので、それを元に世界中で見積もりをもらうことから始めました。そしてサンプルを作り、資金調達とテストマーケティングを兼ねてクラウドファンディングを活用し、約3ヵ月後には170万円の資金を集めることができました。現在はオンラインで「noashi」の販売を行っています。
その経緯の中で、たくさんの失敗も経験しました。しかし、行動をしなければ失敗もできません。そして僕は、失敗からどう学びどう乗り越えるかによって、成功を収めることができると信じています。大事なことは、行動すること。
Facebookの創設者であるザッカーバーグは、「アイデアはいきなり完成形でやってきたりしない。それについて取り組んでいるうちにだんだんクリアになってくるのです。とにかくまずは始めなくては。大きな成功は『失敗する自由』によって生まれます」と言っています。
これからも『失敗する自由』と共に行動をし続ける自分でありたいと思います。