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2023/8/4

食を通じて「全世代のための居場所」を創る |起業・事業再生・継承の挑戦を経て地域へ貢献

ビジネス・ブレークスルー大学(以下、BBT大学)の在学生・楠本 貞愛さんは、2021年5月に「自学自炊コミュニティnalba(以下、nalba)」を立ち上げました。BBT大学在学中に学んだことを生かして、ご自身のやりたいことをかたちにし、地域に貢献される様子をインタビュー記事にまとめました。

「nalba」とは

nalba は、本業の焼肉店「南山」(京都市左京区 https://www.nanzan-net.com/)の元宴会場をリノベーションした食育施設です。一般社団法人 はぐくみ共同体nalbaとして法人化し、2023年4月からは「子ども第三の居場所」として日本財団の助成をうけています。主に以下のような活動を行っています。

  • 「放課後子どもコミュニティ」:放課後に好きなことをしつつ、食事も一緒にするコミュニティ
  • 「子ども体験プログラム」 :子どもたちの料理教室や農業体験プログラムなど
  • 「クッキングサポーター養成講座」:子どもたちの活動運営に携わっていただく方を中心としたお料理教室


nalba は、「食と農をベースに生きる力を育むこと」を目的に、親でも教師でもない、多様な大人たちと子どもたちが、一緒に食事をつくって食べ、安心して自分らしくいられる場づくりに、取り組んでいます。「New Active Learning Based on Agriculture」の頭文字から名づけられました。

それぞれの活動には、他の在学生やスタッフも参加させていただきました。

食育コミュニティミニツアー nalba編
食育コミュニティミニツアー フランス料理教室編
食育コミュニティミニツアーへ参加した学生の声

楠本さんへのインタビュー

Q. どんな思いからnalbaの活動をはじめましたか

A. 楠本さん:
里親の受け入れをした経験から、子どもたちに命の尊さを伝える大切さを痛感しました。

幼少期の経験は、ときに深い傷となって「満たされない部分」「どうにも埋められない穴」を作ってしまうことがあります。人生に対して悲観的になってしまう姿を目の当たりにして、「人を生かすために必要なものは何なのか」という問いが頭を離れません。それでも「嬉しい」「おいしい」といった記憶を少しでも届けることで、「また頑張ろう」と思うきっかけになればと思って、このコミュニティを運営しています。

「親子」という関係もまたむずかしいものがあります。自分の子どもには厳しくなってしまうけれど、他の子には寛大になれたり、子どもも、自分の親には素直になれなかったり。親御さん同士で支えあえたり、異年齢の子ども同士が学びあえたりする居場所があることで、一緒に食事や後片付けをする仲間との時間を楽しめると、チームをつくったり、家族をつくる力が育ちます。食を通じて、次の社会がより豊かになればいいなと思っています。

Q. BBTへの入学のきっかけと学生生活を教えて下さい

A. 楠本さん:
家業である飲食店の事業再生を独学で乗り越え、次のステージとして事業継承を考えていました。末っ子の大学探しをしていたときにBBT大学を知り、講師の50%以上が経営者と知って、良いモデルが見つかるのではないかと思い61歳の時に入学しました。入学直後のBBTスタッフの方との面談で、「今の時代、やりたいと思ったことでやれないことはない」と背中を押され、入学から1年で保育園も立ち上げました(笑)

保育園は、親御さんが楽しく子育てしながら働けること、そして保育士の皆さんがやりがいをもって子どもたちにまっすぐ100%向き合えることを大事にしています。一人目のお子さんを入園させ、2人目3人目と兄弟が増えていく保護者さんたちを見ていると、子育てを応援する「群れ」があることの尊さ・美しさを実感しています。

家業の飲食店のご様子

本題の事業継承は、4年で卒論にまとめてちょうど創業50周年の節目に予定していました。
しかし実際は予定よりも1年早く継承し、50周年は新社長の息子に任せ、新しい門出を飾るすてきなお祝いになりました。

背景として、コロナ禍で前例が通用しなくなったという風潮を感じたことも大きかったと思っています。「過去のものに縛られずに自由にやったらいい」と伝え、家伝の技術とそれまで培った現場感覚を大事にしながら、今その場にいる人と新しいものを作っていくことに力を注いでくれています。

世の中の動きやニーズを的確に捉える方法をBBTで学び、いろんなチャレンジャーの生き方に触れ、
「何をやってもいい」「何でもできる」と体感できることで、入学して良かったと思います。

Q. これからの目標を教えてください

A. 楠本さん:
私の目標は、nalba を全世代にとっての「居場所」にすることです。子どもたちが自分の命の尊さを感じられるように、子育てしている親御さんが応援されるように、そして子育てが終わった世代の人たちも次の世代に良いものを受け渡すことができるように、食を通じて誰かと何かをすることの良さを実感できる居場所にしていきたいなと思います。

実際これまでにも、サポーターさんが高校教員になったり、自分の事業を立ち上げていたりします。こうした自己実現の場としての良さも広げていきたいです。また、地域のおじいちゃんおばあちゃんのために子どもたちがご飯を作ることにもチャレンジし、子どもたちの自己有用感を高め、おじいちゃんおばあちゃんに子どもたちの元気を分けられればと思っています。こうしたいろんな世代が相互に関わるコミュニティとして、nalbaの活動を広めていきたいです。

楠本貞愛さん

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この記事の執筆者

ビジネス・ブレークスルー大学

BBT編集部
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