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2024/3/18

デザイン・シンキングで自分も課題も再発見!~リアル開催ワークショップ イベントレポート~

ビジネス・ブレークスルー大学(以下、BBT大学)では、英語、IT、ファイナンスのスキルを身につけ、世界を舞台にどのような環境下においても活躍できる人材を輩出することを大学設立当時からコンセプトに掲げています。

IT関連の科目にはプログラミングなどのスキルだけでなく、AIなどの最新の技術トレンドや世界中のイノベーションの事例に触れる講義が含まれています。今回の記事のテーマでもある「デザイン・シンキング」の講義では、受講者がアイデアを具体的な形にする上で力強い後押しとなる考え方に触れます。

本講義は2016年から開講していますが、講義内容のブラッシュアップは絶えずなされています。直近ではオンラインでも臨場感ある共感を大切にしながらディスカッションを行うために学びの手法をリニューアルし、その記念として、昨年麹町校舎でデザイン・シンキングワークショップを行いました。本記事ではその様子をレポートします。

なお、「デザイン・シンキング」は2024年4月以降も開講し、単科生(大学本科の科目を1科目から履修できる制度)としての受講も可能ですのでぜひチェックしてみてください。

◆「デザイン・シンキング」って?

デザイン・シンキングとは、アメリカのIDEO社が提唱したイノベーションを生み出す方法論です。デザイナーやクリエイティブな発想をする起業家 / 経営者たちの多くがデザイナー経験を有していたり、デザイン教育を受けていることから、 イノベーティブな企業らの考え方を分析し、イノベーターを育成する考え方として体系化されました。

スタンフォード大学などでも研究され、日本でも数年前から企業や自治体で取り入れられています。右脳・左脳を行き来して考えることで、人間の脳の機能を最大限に活用する点が特徴的です。

講師スライド資料抜粋

ChatGPTでさまざまな事例やアイデアもパッと出てくる時代にこそ、顧客に寄り添った観察や共感を大切に解決策を導くデザイン・シンキングのパワーは衰えません。講義「デザイン・シンキング」では、創造的な視点で課題を解決する体験を提供しています。

◆ 講義「デザイン・シンキング」

従来の左脳的な問題解決法のみでは、既存の事例の延長線上をベースに発想はできても、問題自体がわからない状況での問題解決や、ゼロベースからの発想を行うのは困難と言われています。ビジネスの現場においても、VUCAの時代を生き抜く上で、人間の体験を重視したクリエイティブな発想が求められることが増えています。

本講義では、デザイン・シンキングの5つのステップを体験することで、社内や家庭、人生の課題など、受講者が現実に直面している課題を解決するための基礎を身につけたり、新規サービスや新規プロダクトを創造したりできるようになることをゴールとしています。

講師を務めるのはHOXAIのアートディレクター・映像クリエイターでもある市角壮玄先生で、 国内外でブランディングや映像制作、デザインの仕事に携わりつつ、デザイン思考による問題解決や映像、デザインの研修を手がけています。

講義「デザイン・シンキング」ではドラマ仕立ててビジネスのさまざまなシチュエーションにそってデザイン・シンキングの理論を理解したり、思考したりしていきますが、今回のワークショップでは、3時間でデザイン・シンキングの5つステップを凝縮して体験してもらうことを目的としました。

◆ 「忘れ物をなくす」ためのデザイン・シンキング

ワークショップはBBT大学校舎で行われ、新入生、在学生、卒業生あわせて18名が参加しました。この春に高校を卒業したばかりの方から社会人の方まで、社会人の方は出張でたまたま東京に来ていた人や、海外勤務から帰国した人などもいました。普段会う機会の限られる方も交え、年齢や業種、業界が異なる学生たちが集まり、講師も参加者もわくわくしながらデザイン・シンキングのワークショップが始まりました。

市角先生のファシリテーションのもと、本イベントでは以下の2つをゴールに掲げました。

  • 日頃の問題解決に顧客視点とクリエイティブな視点を取り入れられるようになる
  • 講義の内容をより深く理解する基礎体力をつける

ここでいう「日頃の問題解決」はビジネスシーンに限らず、日常や人間関係など自分が「問題だ」と思うものすべてを指します。講師自身もけんかの仲裁に入るのにデザイン・シンキングをつかっているなどと話し、参加者も親しみを感じているようでした。

本ワークショップで取り組むのは「忘れ物をなくすには?」という誰もが経験のあるテーマです。

STEP1: 共感

このステップでは、受講者それぞれの忘れ物エピソードや忘れ物を防げたときのエピソードをペアインタビューで共有しました。

講師からは文化人類学の「フィールドワーク」についての話も交えて、インタビューのコツなどを紹介しました。エピソードをお互いに共感して聞きあい、「どうして忘れてしまったのか」「どうして忘れ物をせずにすんだのか」を深堀することで課題解決の仮説を立てるヒントを集めました。

インタビューを行ったペアの中では、忘れ物を全くしない2人組もいて、忘れ物をする人の仮説から解決策を考えることを楽しんでもらう様子も見られました。

STEP2: 定義

STEP1 で得たエピソードをKJ法*を使って分類していきます。分類した付箋のグループ同士の因果関係や補完関係などの関連性を考え、話し合いながら忘れ物を解消するための仮説を絞り込んでいきます。

お互いの考えを共有しあって洞察を深めていくこのステップは、講師曰く「ここが一番むずかしいところ」とのことで、その読み通り一番時間をかけました。

普段のオンラインのディスカッションで意見を言語化したり、相手の意見に共感しながら上下関係などなく意見を出し合うことには慣れているBBT生。問題の本質に迫るヒントをどんどん深堀していきました。

*KJ法:文化人類学の分野で考案された情報整理の手法。カード状の紙(付箋)に記した情報を並べ変えたりグルーピングしたりする。

STEP3: 創造

前のステップで立てた仮説に対して、ブレインストーミングで自由に解決策のアイデアを発散させていきます。

ぶっ飛んだアイデアを歓迎します!という講師の宣言を受けて、楽しい雰囲気で意見を述べあいました。さらに、もし自分があの起業家だったら、お笑い芸人だったら...という視点でも考えてみるようにとの講師の投げかけにより、学生のアイデアもどんどん広がりました。

広がったアイデアは、以下の3つの観点で収束させ、試作のステップに入ります。

  • 実現可能性(予算・期間の制約)
  • 有用性(問題を解決するにあたっての妥当性)
  • 新奇性(わくわくするような新しさ)

STEP:4 試作

今回は解決策のプロトタイプをイメージボードを創ることで表現しました。アイデアを視覚化することで、検証して穴を見つけ、改善を図って再試作を行うことを前提にしています。

各グループから挙がったのは以下のようなアイデアで、どれも着目している課題が異なります。

・忘れ物予報を作る

「忘れ物をしても何とかなる」という思い込みを打破することに重点をおき、客観的に「あなたは明日OOを忘れます」と過去のデータに基づいて教えてくれるしくみが必要との理由から。

・忘れても借りられるプラットフォーム

忘れてもなんとかなる忘れ物に注目して、その場で貸してくれる人を見つけられることで課題は解決するという考えから。

グループワークの様子

その他、忘れたら代えが効かないものに注目して忘れ物を届けてくれるドローンサービスを考えたチームや、家から出なければ忘れ物が発生しないのではないか、という考えに基づいてポータブルな家を考えたチームもありました。

STEP5: 検証

仮説から考え出したアイデアを全体に発表し、他のチームからフィードバックを得ることでアイデアの実現可能性や有用性を検証しました。

デザイン・シンキングプロセスとしては、ここまでの5つのステップを何度も繰り返すことでサービス・製品の改善を図っていきます。

◆ イベントを終えて

リアルイベントでの議論はいつものオンラインディスカッション以上に白熱し、イベント終了後の交流も続きました。

普段、企業研修などさまざまな機会でワークショップをしている市角先生からは、「右脳も左脳も使った総合格闘技のような時間でしたが、どのフェーズも滞ることなく左脳と右脳をバランスよく使えているようで感動しました」との感想をいただきました。参加者が大学の仲間というフラットな関係性とACでのディスカッションに慣れていることからも、とても活発に議論がされていたようです。

参加者からも、以下のような声が挙がっています。

  • BBTにはロジカルな分析などを必要とする講義が多い中で、デザイン・シンキングは異色な内容で、自分自身や身の回りの出来事などを深堀りするという普段では中々やらないことを体験できた。
  • グループワークでは意見が割れたり、時間内にまとめるのが難しいと感じる部分もありましたが、自分やメンバーの役割がだんだんと見えてくるのがおもしろかった。軌道修正してくれる人、変化球を投げてくれる人、夢中になると突っ走る人など、普段は自分一人の頭の中で考えていることをチームで体験するのもいい経験だった。

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この記事の執筆者

ビジネス・ブレークスルー大学

BBT編集部
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