オンライン大学だってフィールドスタディ! 「一次情報」で異文化を理解する ~台湾編~
ビジネス・ブレークスルー大学(以下、BBT大学)には、希望者が実際に海外に渡航し、現地のフィールドで海外起業についても学ぶことができる科目が複数用意されています。「ビジネスをしたいなら、その国のことを深く理解する必要がある。その国の歌を1つでも歌えるくらいに、深く知ることが大事だ」と本学の学長も述べており、年々学生の興味関心も高まっています。
2023年の春期にはシンガポールを訪れ、その国のビジネスを中心に調べて回りましたが、秋期には台湾・韓国を訪れ、現地の大学・大学院生と交流を持つ科目がありました。
本記事では、台湾の淡江大学との交流の様子や、科目内でどのような学びを得たのかをご紹介します。
※韓国での交流の様子はこちら
淡江大学について
淡江大学は私学の最高学府として台湾最古の「淡江英語専科学校」を母体とする総合大学として1950年に設立されました。淡水、台北、蘭陽、サイバーキャンパスの4つのキャンパスに2万7千名余りの学生が在籍しており、「国際化」、「情報化」、「未来化」の「三化理念」を掲げ、世界に目を向け未来 を創造する人材の育成に力を入れている。台湾で最も早くTotal Quality Managementのシステムを導入した大学として、教育、研究、 運営管理、社会サービスの質の持続的向上に努め、2009年には「国家品質奨」を受賞。
◆淡江大学HP(中文):https://www.tku.edu.tw/
◆淡江大学日本語学科HP(日本語):http://www.tfjx.tku.edu.tw/japanese
「台日交流文化論」ってどんな講義?
台湾の淡江大学院生とのディスカッションや台湾でのフィールドワークを通じて、日本と台湾の社会・文化に関する知見を高め、相互理解を深めることを目指しています。
事前に政治や経済・社会・文化の各側面における基礎知識や歴史的観点で考察し、フィールドワークを通してお互いに新たな発見を促進する構成となっています。
本講義は、淡江大学日本語文学系の副教授である冨田哲先生と、ビジネス・ブレークスルー大学客員教授の國府俊一郎先生が担当されています。冨田先生は台湾史・社会言語学のご専門、國府先生は人材資源管理論、労働経済学、台湾の社会経済発展論のご専門です。國府先生は台湾の開南大学と中華大学で教鞭をとられていたこともあり、本講義の主担当を務めてくださっています。
◆ 講義の見どころ
講義の中では「日本が占領・統治していた時代の名残」を台湾に見出すテーマもちりばめられています。歴史・文化・政治において、台湾と日本の関係は切り離せません。学生同士は「統治されていた」感覚も「統治していた」感覚もなく関わりあっていますが、歴史の当事者同士が一緒に歴史に触れるということ自体が、正しい相互理解には意義深いものとなっています。
実際、ディスカッションの中ではお互いの国の歴史の教科書などを見せ合い、同じ記載があるか、どのように相手国を表現しているか、そこからどのような印象を感じるかなどを取り上げるシーンもありました。
また、「小さいころからこんなふうに言われて育った」という日本人・台湾人のリアルな声や国語の授業で印象に残っている物語からお互いの国の価値観を構成する哲学、宗教、道徳などについて触れる機会もありました。
【受講生のディスカッション抜粋】
~お互いの歴史の教科書を比較~
台湾の植民地化と「近代化」というタイトルで、ミニトピックがありました。
講義である様な、日本統治時代の台湾の人々からの抵抗などの記載はありませんでした。台湾より朝鮮半島
の方が、より詳しく触れている感じがします。
~宗教観と「宗教と認識されていないあたりまえ」について~
「身體髮膚,受之父母,不敢毀傷,孝之始也。」台湾ではこのような言葉があります。
この文は『孝経・開宗明義章第一』からのもので、日本語に翻訳すると、「身体、四肢、毛髪、皮膚は親から授かったものであり、これらを大切にし、損傷や害を与えてはいけません。これが孝道の基本です。」
したがって、私たちがうっかり皮膚を傷つけたり、事故でけがをしたりすると、自分の親に対して申し訳ない気持ちになります。
◆ どんな学生が受講しているの?
日本では台湾に関する情報は充実していますが、深くは知られていない傾向があります。このため、中国との国際情勢を理解しようとする関心や、歴史・文化の学びが重要であるとの認識から、多くの学生がこの科目を受講しています。
【参加者の履修動機】
- 連日台湾のニュースが流れていますがイマイチ把握出来ておらず、これを機に学びたいと思っています。
- 食に関する海外ビジネスを考えています。海外ビジネスをする際には対象国の歴史文化を学び、実際に現地に足を運ぶことが大切だと感じているため、参加したいと思います。
3日間のすごし方
グループワークを中心に、現地の文化や歴史、人に触れた3日間を、写真も交えてご紹介します。
1日目
フィールドワークの1日目は、キャンパスツアーから始まりました。その後は、キャンパスが位置する淡水の街を散策しながら、冨田先生に街のなりたちや今日に至るまでの変遷などを聞きました。時間が足りなかったという声が多く聞かれるほど好奇心を刺激されました。
2日目
科目内では淡江大学とBBT大学の学生が合同のグループを組み、グループごとにフィールドワークのテーマを決め、事前調査を実施しました。この調査をもとに、淡江大学の学生さんに案内していただきながら、2日目は目いっぱいフィールドワークを実施しました。
各グループのテーマは以下のようになっています。
- 日本統治時代の建築からみる台湾への影響・台湾政府の日本に対する考え方
- 台湾に進出する日本の外食企業の現地化
- 老街* が観光地と化した理由
- 新住民** のリアルな生活、日本人が仕事で台湾に進出するにあたり注意すること
* 清朝または日本統治時代に造られた古い町並みのこと
** 1990 年の戒厳令解除以降、国際結婚やその他の理由により台湾籍を取得した者の総称
直接現地の方にインタビューをできたことで、観光以上の体験を出来たと実感した学生の声が多く聞かれました。新住民の方から台湾での生活事情について聞いたり、老街で働く人からその地の歴史を聞いたりすることで得られる知識は、臨場感のあるものでした。
ほとんどすべての参加者がずっと誰かと話している状況で、お互いを知る交流の時間も足りないと感じるくらい積極的にコミュニケーションをしている姿が印象的でした。
3日目
3日目は冨田先生による新北投エリアのツアーを楽しみました。このエリアは日本の占領下で温泉地としても栄え、九份などの観光地と並んで有名です。一度温泉街としては廃れた時代もありましたが、一新した今でも日本風の名前がついた施設があったり、日本統治時代の建物を残していたり復元していたりする様子が見られ、台日の歴史的な関わりが色濃く伺えます。
本講義で得たもの
本講義の前後のオンラインディスカッションも密に行いました。文化や言語の壁を感じながらのグループワークは難易度も高く、思った通りに事が進まない経験をした学生もいましたが、それらも貴重な体験として学びの一部となっています。参加者からも相互理解の前提となる文化を「体験」できたことは大きな気づき・学びがあったとの感想をもらっています。
語学への関心が高まったBBT生も多いようで、今後も継続して個人の観点でも国同士の観点でも関係を考え続けるきっかけにしていただきました。
BBT大学では今後も海外でのフィールドスタディに取り組んでいく予定です。海外や国際関係に関心のある方、ぜひ一緒に学びを深めてみませんか。
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