20代半ば~30代にかけて陥りがちな「クォーターライフ・クライシス(Quarter Life Crisis)」とは? ~ 意味と5つのフェーズ 、対策方法について解説~
1. はじめに
「クォーターライフ・クライシス」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、20代半ばから30代半ばで直面する、人生の節目に感じる漠然とした不安や焦りを抱える時期のことです。
社会に出て生活・仕事に慣れてきた一方、自分の将来について考えるうちに、ふと「このままでいいのか?」という理想と現実のギャップに苦しんでいる状態になることであり、この現象は、特に現代社会において多くの若者に共通する課題となっています。本記事では、「クォーターライフ・クライシス」の意味や原因、そして対策方法について解説します。
2. クォーターライフ・クライシスとは?
クォーターライフ・クライシスは、英語で「Quarter-Life Crisis」。 元々欧米では2000年代初頭から一般的な概念として広く知られていましたが、近年日本でも注目を集めるようなキーワードとなっています。 人生100年時代の4分の1が過ぎた時期に、多くの若者が以下のような症状を経験します。
- 自分のキャリアに対する不安や不満
- 人間関係や結婚に関する悩みや孤独感
- 将来に対する漠然とした不安
- 自分のアイデンティティや人生の目的を見失うこと
- 経済的不安的さへの懸念
また実際にLinkedInの2017年の調査によると、25歳~33歳の7割以上がこのクォーターライフ・クライシスを経験していることが明らかになっています。
(参考)「New LinkedIn research shows 75 percent of 25-33 year olds have experienced quarter-life crises」
3. クォーターライフ・クライシスが注目されている背景
近年、日本においてもクォーターライフ・クライシスが注目されるようになった背景についてお伝えします。
キャリアパスの多様化
非正規雇用の増加、フリーランス、ジョブ型雇用の導入など、従来の終身雇用制度からの変化によって、若者のキャリアパスが不確実なものとなり、その結果、将来の経済的安定性への不安が高まっています。
キャリアの方向性を自ら選択・決定する必要性が増し、多くの若者がキャリアの意思決定に悩んでいます。
転職やキャリアチェンジの機会が増えた反面、それに伴うストレスも増加しています。
社会的価値観の変容
従来の「学校卒業→就職→結婚」という人生設計が必ずしも一般的でなくなりました。個人の選択肢が増えたことで、逆に不安や迷いを感じる若者が増加しています。また、成功の定義も多様化し、物質的な豊かさだけでなく、個人の充実や社会貢献など、様々な価値観が共存しています。
SNSの普及
総務省の2021年の調査によると、20代のSNS利用率は約90%に達しています。SNSを通じて他人の生活や成功を日常的に目にすることで、自己評価の低下や焦りを感じる機会が増えています。また、情報過多により、自分の判断や選択に自信が持てなくなる傾向も見られます。
4. クォーターライフ・クライシスの5つのフェーズ
クォーターライフ・クライシス研究の第一人者であるオリバー・ロビンソン氏は、自身の論文の中でクォーターライフクライシスを5つのフェーズに分類しています。
フェーズ1:人生の選択への後悔
仕事・キャリア、人間関係、恋愛など「自らの過去の選択が自分自身を閉じ込めているのではないか」と感じること。
フェーズ2:現状打破を模索
フェーズ1に陥っている自分自身を問題視すること。「現状を打破しなければ」「思い切って行動すれば、なんとかなるのではないか」と感じ始める。
フェーズ3:過去との決別・人生の再選択
仕事を辞める・恋人と別れる・人間関係を見直すなど、自分自身を不自由にしているものと決別すること。あらゆるものと距離を置いて、自分自身を見つめ直す状態。
フェーズ4:人生の再構築
段階的に、着実に人生を再建すること。
フェーズ5:希望に向かってコミット
自身の興味や関心のあることに対し、熱心に取り組むこと。
5. クォーターライフ・クライシスに陥りやすい人の特徴
クォーターライフ・クライシスに陥りやすい人はどのような特徴があるのでしょうか?一部ご紹介します。
完璧主義者
高い基準を自分に課し、常に最高の結果を求める人は、クォーターライフクライシスに陥りやすいです。現実と理想のギャップに苦しみ、自己評価が低下しやすく、新しい挑戦を躊躇する傾向があります。
他人と比較しがち
SNSなどを通じて他人の成功・生活と自分を頻繁に比較する傾向がある人は、自己肯定感が低下しやすく、不安や焦りを感じやすいです。他者の華やかな面だけを見て、自分の人生に不満を感じる傾向があります。
人生における目標設定が曖昧
明確な長期目標や人生のビジョンを持っていない人は、クォーターライフ・クライシスに陥りやすいです。方向性が定まらないため、日々の選択や決断に迷いが生じやすく、人生の意義や目的を見出すのに苦労します。
社会と自身の価値観のギャップが大きい
従来の成功の定義(結婚、持ち家、大企業への就職など)と自身の価値観や目標が一致しない人は、社会的プレッシャーと自己実現の間で葛藤を感じやすいです。自分の選択に自信が持てなくなり、不安や焦りを感じやすくなります。
6. クォーターライフ・クライシスの対策方法
”クォーターライフ・クライシス”に直面している方に向けて、対策方法のヒントをお伝えします。
現実を受け入れ、”今”に集中する
過去の自身が下した意志決定や理想・現実のギャップにとらわれすぎず、現在の状況を客観的に受け入れることが重要です。SNSの普及などにより、他人の生活・成功・豊かさが可視化されて目につきやすい時代だからこそ、自分が現時点で集中すべきことは何なのか、今自分にできることは何かを自分の頭で考え、行動していくことでしか道は開けません。
またBBT大学の学長の 「人生に対する取り組み方」という動画においても、現在の状況を受け入れることの重要性を話しています。是非一度ご覧ください。
「自己認識力」を高める
自分自身を見つめ直し、自分の価値観や目標を明確にすることが重要です。自己認識を通じて、自分は何者なのか、人生に何を望んでいるのか、それに基づいて現実的な目的・目標を定めていきます。自分の現在地と理想が明確にならないまま日々を過ごしていると、自分の望まない状態へと突き進むことは想像に難くないでしょう。
・キャリア・人生の目的・ゴール・目標、その他過去の喜び・悲しさ・悔しさなどの感情も含めて自分自身について、内省を深めていくと良いです。
BBT大学では、この「自己認識力」を高めるため、「セルフリーダーシップ」という科目で半期をかけて自身を振り返り、講師・仲間との議論・フィードバックを繰り返しながら、自己認識を深めていきます。
(※ご興味のある方は、下記より詳細をご覧ください。)
「問題解決力」を高める
ここで言う「問題解決力」とは、課題を論理的に分解することによって、本質的な問題点を発見し、これに対して仮説作成とファクト(事実)に基づく検証を繰り返しながら、的を射た解決策を立案・実行する力です。
漠然とした不安・焦燥感を抱えているのであれば、答えのない課題に対して、自ら解決する力が欠けているのかもしれません。現象を原因だと思い込み、現象に対して対症療法を施し続け、悩み続けている可能性があります。
この「問題解決力」を高めていくことで、「どんな問題も解決することができる」という自分への自信にもつながりますので、自ずと将来に対する不安感・焦燥感の正体を突き止め、解決に導くこともできるでしょう。
サポートネットワークの構築
家族や友人、メンターなどの信頼できるサポートネットワークを築くことも重要です。困難な時には、信頼できる人々に相談し、アドバイスをもらうことで、問題を乗り越える力を得ることができます。
BBT大学の卒業生の石黒さんも、経験豊富な仲間と切磋琢磨し合い、またメンターからのアドバイスを受けながら、人生を切り拓いていくことができたと。
そのような”困った時に頼れる”居場所を持つことで、自ずと人生を切り拓くことができるでしょう。
6.終わりに
クォーターライフ・クライシスは、多くの20代半ば~30代半ばまでの方が直面する課題ですが、それを乗り越えることで大きな成長を遂げることができます。自分自身を見つめ直し、問題解決力を高め、今を集中して取り組むことで、将来に対する不安は自ずと解消していくでしょう。
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