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2024/3/7

ブランディングの力で社会に愛される対話を増やす  ~『口ベタ企業への処方箋』出版インタビュー ~

ビジネス・ブレークスルー大学(以下、BBT大学)で、グローバル経営学科を卒業した有澤卓也さんが、この度初のご著書となる『口ベタ企業への処方箋 企業価値を発掘するブランド戦略』を出版されました。

ご出版の背景やお仕事にかける思いなどをインタビューし、今回記事にまとめました。本の紹介とあわせてお楽しみいただければ幸いです。

◆「口ベタ企業」への思い

筆者:
「口ベタ企業」という言葉は有澤さんの会社「株式会社ASTRAKHAN」のビジョンにも使っておられますね。

有澤さん:
「口ベタな会社を減らす」ですね。

弊社は、企業の隠れていた価値をインタビューやワークショップを通して引き出し、企業のスローガンやデザインをつくるコーポレート・ブランディングの仕事をしています。

生活者ニーズや市場自体が目まぐるしく変わる中で、自社の価値を一貫して発信し続けることは簡単なことではありません。企業の柱となる価値を明確に言語化し、社内外に認知させることは、顧客や求職者などさまざまなステークホルダーから選ばれるためには欠かせません。「ブランディング」は、こうした企業とステークホルダーとのコミュニケーションに必要な評判づくりの手段だと考えています。

筆者:
消費者向け製品のブランディングに関する本はよく見かけますが、今回の本の事例には警備会社やリサイクル事業会社、上下水道工事会社など、普段目にしない業界が取り上げられていたのが新鮮でした。

有澤さん:
普段、人が目にする機会の少ない BtoB の企業ほど私たちの生活を支えてくれていて、日本の経済に欠かせない存在だったり、社会がまだ気づけていないニーズの最先端を担っていたりすると気づかされることがよくあります。

ただ、BtoB 企業の方ほど、ブランディングは関係ないと思っている人が多いようにも感じます。組織のいいところも悪いところも洗い出した上で、顧客に対して自社はどうなりたくて、社員をどう導いていくのかを整理することは、経営の基盤になる求心力を生み出します。ブランディングとはそういう力を持っていると思っています。

筆者:
どんな企業も働きがいを生み出したり、他社との違いを感じてもらったりするためにブランディングの力を利用できるんですね。

口ベタ企業への処方箋 企業価値を発掘するブランド戦略

有澤さん:
北欧では社会のインフラを支えるエッセンシャルワーカーの給料は高く設定されていて、社会から評価されています。日本でも彼らを同じように認知してもらうためにも、ブランディングの力を知ってほしいと思います。

他にも例えば、もっと多くの人に会社のことを知ってもらいたいと考えている中小企業の経営者さんは多いと感じています。自分の子どもを育てるように会社を育て、仕事を心から楽しんでいらっしゃるのに、その情熱が広く語られることなく「口ベタ」だったりすることがあります。元気な中小企業をもっと社会に認知してもらうためにも、ブランディングで協力したいと思います。

筆者:
ぜひ、BtoB 企業・中小企業の経営者さんにはこの本を手に取っていただきたいですね。

本の中ではコピーを決めるまでの話し合いの進め方や、その中で大事なポイント、陥りやすい罠なども紹介されているおかげで、読みながら自社ではどのようにメッセージをつくるか、浸透させるかについてなども考えを巡らせることができました。

◆ コピーライティングに魅せられて40年

筆者:
有澤さんがコピーライターになろうと思ったきっかけは何ですか?

有澤さん:
私が10代後半の頃、ちょうど1980年代当時はCM・広告の黄金期でした。そうした潮流の中でコピーライターという職業を知り、世界の広告産業の中心地として有名な米マディソンアベニューから入ってくる最先端の広告表現に触れられることや、斬新なアイデアで商品を魅せる様...すべてがかっこよくて、憧れました。それで、大学にもいかず、寝食を忘れて仕事にのめり込みました。

地域のスーパーの案件から国のプロジェクトまでいろんな分野に携わりました。好奇心旺盛な性格もあって、関わるあらゆる分野のことをその都度勉強して、年間50本くらい提案して、24時間働く生活を戦友たちと楽しんでいたら、あっという間に40年経っていました。

お仕事中の有澤さん

筆者:
専門性をそれだけ突き詰めていらっしゃる中で、どうして経営学を学ぼうと思ったのですか。

有澤さん:
3.11 (東日本大震災)は大きなきっかけになりました。震災直後、大船渡市三陸町に赴き、浜のお母さんたちと被災地で一緒に生活しながら、「浜のミサンガ」をつくるというプロジェクトを起こしました。関わってくれた300名ほどのお母さんたちに約1億4000万円のお給料を届けることができました。

<三陸に仕事を!プロジェクト>
http://www.sanriku-shigoto-project.com/

このプロジェクトの間、津波で何もなくなった地域の状況を目の当たりにして、すべてをリセットして一から学びなおす必要があるかもしれないと思いました。感性だけでキャリアを築いていくことは難しいかもしれないと不安に感じていた時、世界の実情・経済の成り立ち・ビジネスを知るという意味で、実践知を教えてくれるBBT大学を見つけました。

当時はスクーリングなしで学べる環境は数が限られていました。大前研一氏の大学であることからも、信頼して飛び込むことができました。

当時の三陸町の風景

◆ BBT大学での刺激とキャリアへの作用

筆者:
BBTにいた期間を振り返って、どうですか?

有澤さん:
おもしろかったです。教科書的な答えには全然丸がつかなくて、「なぜそう考えるのか」「自分の意見を述べよ」と講師からもラーニングアドバイザーからも絶えず突っ込まれて、こんちくしょー!って勉強してました(笑) 

特に「RTOCS(リアルタイムオンラインケーススタディ)」では、公開されている最新の企業情報をもとに、その企業の経営者になったつもりで事業戦略を毎週提出します。在学中に、合計で200本ほど企業の成長戦略を書いたのではないでしょうか。思考力や発想の仕方、思考のスピードが鍛えられたと思います。LAや学生とのディスカッションはしんどくも楽しかった思い出です。逆にその負荷がボディブローのようにジワジワと効いてきて、大変勉強になりました。答えがないものに答えを出すスタイルが、自分には合っていたと思います。

水辺のまちづくりにストリートビューを活用する
プロジェクトに取り組む有澤さんたち

筆者:
経営学の学びは、有澤さんのご専門のコピーライティングにも役立っていますか。

有澤さん:
生成AI で簡単に文章をつくったり整えたりできる時代になりましたが、コピーライティングには、ニュースと提案があってはじめて、人を動かすことができると思っています。一行のコピーを読んで、人の心が動く、人が行動する。そのために今までにない切り口や魅せ方、仕掛けを考えることを常に理想としていて、BBT大学で鍛えた思考力もそこに紐づいていると感じます。

そもそもBBT大学はあまりアカデミックな感じがしなくて(笑)、仕事の中で使ってこそ学びも深まり、価値があると考えています。「やりたいことは全部やれ」と大前氏も言う通り、自分にスキルをつけて、世の中で生き残ることをおもしろがれと言われているものと感じていました。

いくつになっても、モチベーションの高い人と変わったビジネスをおもしろがりながら、記憶に残る仕事をしていきたいなと考えています。

有澤さんとゼミ担当の谷中修吾教授
有澤さんと大前学長

BBT大学では説明会や個別相談会を開催しています

BBT大学では幅広い年齢・バックグラウンドの学生が「キャリアを変えたい」「人生を変えたい」と入学してくださいます。学びにハングリーな学生と刺激し合いたい方や、ご自身のセカンドキャリアをもっと楽しくしたいと考えている人はぜひ、一度お気軽に説明会や個別相談会にお越しください。

こちらのページから、お気軽にお申し込みください。

この記事の執筆者

ビジネス・ブレークスルー大学

BBT編集部
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