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キャリアに活きる自己開発完全ガイド~学びを実力に変える~
はじめに
昨今のリスキリングトレンドの中で、 身につけるべきスキルや 自己開発 についてたくさんの情報が飛び交うようになりました。
実際、厚生労働省の調査によると、自己啓発を実施した労働者の割合は増加傾向にあり、令和3年度の調査では正社員で44.6%、正社員以外で20.4%に達しています(*1)。また、自己啓発を行う人々はキャリア志向が強い傾向があるとする研究もあります(*2)。
情報を手に入れること自体は難しくない時代。思い立った時にいつでも、誰でも新たな学びに触れることができます。それにも関わらず、上手く咀嚼して自身の業務やキャリアに違いを生み出すとなると、なかなか一筋縄にはいかない...という経験をされた方も多いのではないでしょうか。この記事では、能力開発を成功させるために必要な行動、学び方、よくある失敗を解説し、キャリアアップを目指す方にとって役立つ情報を提供します。
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自己開発とは?
「自己開発」 とは、キャリアプランニングの一連の流れの中で、特に「自身の目標や価値観と現状を照らし合わせて、足りない部分を埋めること」を指します。似たような言葉として「自己啓発」も聞かれますが、自己啓発はどちらかというとマインドセットの変化や精神面の成長を指すイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。定義は様々ですが、本記事ではキャリアの可能性を広げるための精神的・能力的なスキルアップを意味します。
また、「能力開発」が一般的に企業などの組織的な取り組みを指すのに対して、「自己開発」は自らの意思に基づいた自身の能力向上のため行動と言えます。
今から始める自己開発のためのアクション
① 現状分析をする
自己開発は、キャリアプランニングの流れの中で捉える必要があります。そのため最初のステップとして、これまでの自分の経験や専門性、価値観を踏まえ、これからのキャリアの中で何を目指したいか、どんな自分でありたいかなどの目指す方向性を明確にすることが欠かせません。
もちろん、方向性や目標は絶えず変わるものであり、自己開発を経て、今は見えていない選択肢が開ける可能性も大いにあります。その上で、今関心があることや挑戦してみたいこと、妥協できないことなどを言語化し、それらを目標として動き出してみましょう。
- ありたい姿に向けて、伸ばすべき資質や身につけたいスキルを明確にする
- 自己診断ツール(スキルマップやキャリア診断など)を活用して自分を知る
- 周りの人からも自分の資質やスキルについて意見をもらったり、他のキャリアの選択肢を聞いたりする
② 学びを習慣化する
身につけたいスキルが決まったら、効果的に身につけるための環境を作りましょう。
独学であれば、書籍を購入して「毎日O時に読む」「いつまでに終わらせる」などのルールを決めたり、関連する試験の申し込みを合わせて行ったり、必ず目に入るところに書籍を置いたりして、やる気が一過性のもので終わらないように工夫します。
一人で続けるのが難しいと感じる方は、友人や知人と一緒に取り組んだり、オンライン講座などもうまく活用して、学習が習慣化するようなしくみを活用することもおすすめです。オンラインで講師や仲間と一緒に学びを深めたり、スタッフとの学習相談やキャリア相談をしながら学びたい方には、「ビジネス・ブレークスルー大学」もおすすめです。
- 学習にあたってのルールや仕組みづくりをする
- 定期的にスキル習得の成果などが見えるように振り返りの機会を設ける
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③ アウトプットを増やす
学んだことは、積極的に業務の中などで使ってみることを強くお勧めします。頭の中でわかっていることが、実際にできることであるとは言えません。これはマーケティングもマネジメントも、プログラミングにおいても同じです。本を読んだり動画を見たりして学んだことを、自分でも再現してみることで新たな発見があったり、疑問が生まれたりして学びを深めていくことができ、実践を繰り返すうちに自分のスキルとなります。
また、学んだことを実践することで他の人にもあなたの変化が見えると、成長を認めてもらうことでモチベーションが上がったり、関連する仕事をもらったりしてさらに学びを軌道に乗せることができます。
- 個人ブログや社内プレゼン、業務改善などで、学んだことを活かすための場を作る
- 学びの変化について他者からフィードバックをもらうようにする
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自己開発の落とし穴 ~スキル習得が単発で終わってしまう~
自己開発に取り組むことは、キャリアを成長させるために非常に重要ですが、学び方によっては思うような成果につながらないこともあります。特に、スキル習得が単発の知識習得で終わってしまうと、実際の仕事やキャリアアップに活かしきれない可能性があります。ここでは、よくある落とし穴を紹介します。
1. 学ぶだけで満足してしまう
新しい知識を得ることで満足し、実際の業務で活用しないケースが多く見られます。例えば、オンライン講座でマーケティングを学ぶ場合、講座を修了したことで達成感を得て満足してしまい、実際の業務で活かせずにいると、ここぞというときにまた一から勉強をし直す必要が出てしまいます。
2. 目標が曖昧
「とりあえずスキルアップしたい」と考えて行動するものの、具体的なキャリア目標が決まっていないため、方向性が定まらず迷走するケースがあります。例えば、資格取得を目指して勉強を始めても、「なぜその資格が必要なのか」を明確にしていないと、途中でモチベーションが下がり、結局取得を諦めてしまうことにもなりかねません。
3. 継続できない
最初は意欲的に学び始めるものの、仕事が忙しくなったり、プライベートの予定が増えたりすると、学習の優先度を下げてしまうことがあります。自己開発は一朝一夕にできるものではなく、長期的な自己投資です。「忙しくてもここまでは頑張ろう」と自分を励ましていくことができるような小さな目標や期限をいくつか設定することもおすすめです。
4. 短期的なスキル習得にばかり目を向けている
目先のスキル習得に集中しすぎて、長期的な視点を持たないケースもあります。例えば、プログラミングスキルを身につけるために短期間で集中して学ぶことは素晴らしいことですが、ビジネス戦略やマネジメントの視点を併せて学ぶだけで、キャリアの選択肢がぐんと広がります。キャリアを戦略的に考えるためにも、関心の幅は広く持つことをお勧めします。
まとめ
自己開発は、単なるスキルの習得ではなく、キャリア全体の成長につなげることが重要です。
また、多くのビジネススクールはマーケティングや財務会計、リーダーシップ、問題解決などのスキルを幅広く身につけられる環境を提供しています。それぞれの観点から、自社の「ビジネス」などを考え直してみると、普段の業務が違って見えるようになります。学びを習慣化するのにも役立つので、上記のような落とし穴を回避しながら、腰を据えて自己開発をしたいなら、こうした学習環を検討してもよいでしょう。
ビジネス・ブレークスルー大学は、各科目の課題や卒業論文を通して、学生自身の事業創造や、勤務している企業の成長戦略をテーマに取り組うことを促します。あえて「実践」をしてもらうことで、学びを自分のものにすることは、真の成長につながります。こうした学生自身の試行錯誤に、経営者や実務家である講師自らが伴走する点も、ユニークです。
自分にあった学習環境を選び、継続的に学ぶことで戦略的にスキルを積み上げ、将来の可能性を広げていきましょう。
<参考>
*1 https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/001113087.pdf
厚生労働省より。「在職者の能力開発に関するデータ」 2025年2月5日時点。
*2 https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20160920/houkoku/04_kenkyu2.html
独立行政法人 労働政策研究・研修機構より。「企業で働く人の「学び」―「自己啓発」「学び直し」の現状と環境」2025年2月5日時点。
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