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2021/11/5

【BBT大学対談(2/3)】常に問いかけるのは、何のために大学に行くのか~誰から・誰と・何を学ぶのか~

どのような人材をいかに育てようとしているのか

山本 教育というと、教職員、カリキュラム、コマシラバス、教材、教授法、評価法等で構成されていますが、BBTの特徴は何でしょうか。

白崎 まず誰から学ぶかが重要ですが、BBT大学は先生がみな実務家教員であるということです。鉛筆一本も売ったことがない先生から経営学を教わっても価値がないという観点から、実務家の先生から学ぶことを原則にしています。それに付随することですが、先生たちはBBT大学からの報酬が主な収入源ではない、ということがあります。実務の方に主な収入源があって、それにプラスして教育にも関わりたいという篤い意志を持っている先生だけで教員団が構成されています。こうした先生方の授業では、マクロ経済学や統計学などの理論も教えるのですが、マイケル・サンデル教授の『白熱教室』のように即興性があって、「この問題についてどう思うの」とやり合う機会がとても多い。この即興性とは、インタラクション(双方向性)のことで、インストラクション(教示・指示)型の授業ではなく、インタラクション型の授業を基本としています。相互に作用して、集合知を高めることが目標です。

もちろん理論等をインプットすることはすごく重要で、上質なアウトプットのためには上質なインプットが欠かせませんが、それを踏まえた上で上質な議論の機会を創出できる先生にBBT大学の教員になってもらうという考え方です。先生方も、だからこそBBT大学の教育を担いたいという方ばかりです。そうでないと、本業が忙しい中で引き受けるモチベーションも生まれてきません。

カリキュラムとしては、答えのない問いに取り組むことが中心です。最終課題は、だから「どうぞカンニングしてください」と(笑)。カンニングして答えが書けるような問いではありませんし、いかにアウトプットできるかに価値を置いていますから。よくオンライン化したらカンニング対策をどうするのか、ということが言われますが、BBT大学ではそもそもそんなことはどうでもいい問題です。

例えば、「マーケティング実践」という科目では、実在の企業のマーケティング戦略を立案してその企業の社員の方の前でプレゼンするのですが、面白いのはある意味で当然なのですが、当該の企業の社員の方も「これが正解」というものを持っていないということなんです。答えがない中で、「自分ならこう思う。なぜならば」ということを周りからフィードバックを受けつつ学びます。これがBBT大学のカリキュラムの面白いところです。

山本 「答えのない問い」というコンセプトも、「教えない大学」というコンセプトもBBT大学のホームページに出ていますね。これもイエナプランに通じます。イエナプランでも「教えない学び」ということを強調しています。

白崎 スポーツのコーチでも大学や学校の先生でも、みんな教えたがります。BBT大学を運営する(株)ビジネス・ブレークスルーは、インターナショナルスクールも運営しており、それらの学校はIB(インターナショナルバカロレア)の認可を受けていますが、そこでも先生が喋ってよい時間は1コマの3割までだと決められています。先生が喋り過ぎると学生や生徒のアウトプットの時間を奪ってしまうからですが、これは実際問題としてかなり難しい。

山本 ちゃんと授業をデザインしていないとすぐに議論が終わってしまったり、本来の目的ではない議論に行ってしまったりしますからね。もう1つのBBT大学の大きな特徴は、100%オンライン教育だと思います。その価値は何ですか。

白崎 BBT大学は「誰から」「誰と」「何を」学ぶか、を重視しています。「誰から」については先ほど話しましたが、オンライン教育のメリットを最大限活かせるポイントは「誰と」学ぶかにあります。いわゆる志の高い学生は東京だけにいるわけではなく、また日本だけにいるわけでもなく、世界中のそういう人たちと机を並べられることがオンライン教育の価値だと思います。先にオンラインありきのように捉えてしまう人も多いのですが、私にとっては「誰と」がまずあって、それに最適な手法がオンライン教育だったという考え方なんです。また「誰から」についても、他の本務で引っ張りだこの先生の隙間時間を活かせるのも、オンラインしかないと思っています。

山本 ミネルバ大学(※1)のような感じですね。ミネルバ大学の学生のような過ごし方をしている学生もBBT大学にはいますね。世界中のいろいろなところに行って、そこで友達を作りながら学ぶという学生です。その意味では、大学の先生だけでなく、世界中の人から学べるというのがBBT大学のオンライン教育の価値ということですね。

※1 ミネルバ大学とは、アメリカ・サンフランシスコに本部を置く全寮制の4年制総合大学。特定のキャンパスを保有せず、学生は4年間で世界7都市に移り住みながら、オンラインで授業を受講することに特徴がある。

白崎 学生同士で学び合う効果が大きいことは、教育関係者にとっては常識かもしれませんが、自分が学んだことをすぐに学生同士で教え合うと知識が定着します。教育で重要なことは再現性と汎用性だと思いますが、学んだことをどれだけ再現性を持たせられるのか、汎用性が作れるのかがカギだと思っています。学んだことが面白かった、それを社会に役立つように再現させるためには、自分なりに論理的にとらえて言語化して人に伝えることができないとダメです。BBT大学にはそうしたことを望んでいる学生が集まってきていて、「事業構想ラボ」(※2)や「アイラボ」(※3)といった学び合うコミュニティが形成されています。

※2 新しい事業アイデアを興していくための課外コミュニティ。在学生・卒業生などBBTと関わったことがある学生であれば誰でも参加できることが魅力。
※3 専業学生が運営する「同世代の仲間とつながる」「将来のキャリアを構想する」ための課外コミュニティ。

BBT大学にはLA(ラーニングアドバイザー)(※4)という仕組みがありますが、理想は途中からLAも先生もいなくなって、学生同士でどんどん学びが進んで行くことです。分からなくなった時だけ先生やLAに登場してもらうというのが、教育の理想形だと考えています。そうなると大学の運営そのものも今までとは違うものになっていくでしょうが、そこを目指すのが目標です。

※4 講義の内容に関する専門家が数名ラーニングアドバイザー(LA)となり、学生の学習支援や相談を行う。

山本 イワン・イリイチという人が『脱学校の社会』の中で言っていることを思い出しました。それは、教育という営みが学びたい人と教えたい人とが出会って初めて生まれるということです。学校教育が整備され制度化されてくると、必ずしも教えたいことがある人が先生になるわけでない。職業として生活のためが優先されている先生も少なくない。だから情熱をもってこれを教えたいという先生と、自ら学ぼうとしている学生たちとの出会い、それはさらに「この人から学びたい」に発展していくわけですが、それをこの社会の中でリデザインしているのがBBT大学ではないかと思います。

白崎 確かにBBT大学の社会人学生には、学んだことをより多くの人に伝えていきたいという情熱を持って、教育系や人材育成系に進みたいという人が少なくありませんね。

教えたいことには、フレーム的というか理論的なことと、考え方や捉え方などの価値観的なことの2つがあってBBT大学の先生はその両方を教えてくれるのが特徴です。今年(2021年)の2月と3月に12人の先生方にお願いをしてイベントを開いたのですが、英語系、コンサル系、イノベーション系などのブロックに分けて「今のあなたがこういう人生を歩んできたのは、何が要因だったのか」を話してもらったのですが、12人の先生がみな同じことを言っていました。それは自分自身の価値観や志が、困難な状況を突破する原動力だったと。もちろん、問題解決力や論理的思考力は重要なんですが、それよりも自分が何に熱狂するのか、自分は何がしたいのか、それはなぜなのかが自分なりに言語化できている人間が強いのだと。それだけを糧に今があるんだと、12人の先生が全く同じことを、相談したわけでもないのに言っていました。

自分の大学時代の経験でも、そういう授業は無かったので、そうしたことに触れられることはBBT大学の強みだと感じます。

山本 最近はAIやデータサイエンスを教える大学が増えています。確かに役立つツールですが、それを使って「では何がしたいのか」に答えられないような教育ではダメなんです。

それに関連してですが、BBTは大学だけではなくMBAの大学院も社会人の人材育成にも関わっています。そうした中で、企業や社会の求める人材像、ブレークスルーが起こせる能力については変化してきているのかどうか。白崎さんはどう捉えていますか。

白崎 私は変わってきていると思います。というか、元々それらは重要視されてはいたのだけれど、そちらによりフォーカスされてきたというのが正しいかもしれません。

目に見える分かりやすいもの=認知と、目に見えない分かりにくいもの=非認知という言い方をしているのですが、中竹竜二先生にセミナーで、スキルセットとマインドセットのどちらが大切かという問いを投げかけたのですが、「それは不毛な問いである」と言われました。両方必要なんだと。ただ、認知は目に見えるから重要視されてきたけれども、それと同じくらい非認知も重要で、そこの哲学的な定義を持てていないとスキルを学んでも活用できないと。

現在ではスキルの量も膨大で、1人の人間ではすべてにキャッチアップできなくなっている。とするならば各エキスパートを巻き込んで、集合知として問題解決していけるかが重要で、今はそういう時代なのではないかと思います。

もう一つ私の個人的な経験ですが、10年前に前職を辞めてBBT大学に入職した時に、社会人学生はこんなにまじめに学んでいるのかとカルチャーショックを受けました。前職では同僚も私もあまり勉強していませんでしたので、驚いて前職の社員にアンケートを取りました。そこで、「現在も勉強している」と回答した人が2割、「していない」と回答した人が8割でした。勉強している人に「何を学んでいるか」を質問すると、すべてが語学と資格でした。これは完全に目に見える認知のスキルセットの方です。そして勉強していないと答えた8割の人に「勉強が必要ですか」と質問すると、ほぼ100%が「必要」と答えました。

ここから言えることは、非認知の方については学びたいと思っていないということです。だから、認知的なスキルを学ぶことによって社会にいかにインパクトを与えたいのか、が言語化できていないのだろうと。つまり非認知なマインドセットが決定的に弱いわけです。しかもそのことに気づいていない。

私がBBTでのリーダー育成プログラムの立ち上げの際に視察したウェストポイント(※5)でも、knowledge(知識)、doing(行動)、being(姿勢)の中でbeingが重要だと教官が強調していましたが、やはり自分自身をセルフアウェアネス(self-awareness=自己認識)していくことが大切だと思い、BBT大学のカリキュラムの柱に据えました。これは日本の公教育の中では難しいというか、そんな問いすらも立てられたことがありません。

※5 アメリカ合衆国の陸軍士官学校の通称。

しかし、多くの人に「自分の人生の中で凄いなと思ったのはどんな人」と聞くと、おそらくセルフアウェアネス的なところにリーチしてくれた人に反応しているんではないかと思うわけです。認知的なことを教えてくれた人よりも、非認知的な部分に心を動かされて、「この人についていこう」と思うのです。それが構想力であったり、ロマンを掻き立てることだったりするのではと思います。
そうしたことを語れる人を育成していくことが、これからの時代に求められているのだと思っています。

人事研修などを企画する際にも、顧客企業の社長や人事部長の方などから相談を受けるのは、良い能力を持っているのにパフォーマンスが上がらず、それなりのことをやって終わってしまっているので、それを何とかして欲しいということばかりです。そうした人にさらに専門性を与えても、問題は何も解決できません。

もちろん、世の中で求められている能力も認知に振れたり、非認知に振れたりするわけですが、今は明らかに非認知に振れていると思います。 それがあってこそ、スキルの必要性も見えてくると思います。それをどうデザインしていくのかが私の課題でもあります。

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【BBT大学対談(3/3)】常に問いかけるのは、何のために大学に行くのか~オンラインだからこそできる挑戦

イベントのご案内

ビジネス・ブレークスルー大学は、学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校・S高等学校と島根県立隠岐島前高等学校から登壇者を招き、各校の実践報告を基調としたセミナー「生徒・学生の思考力・非認知能力を高めるための教育DX」を12月12日(日)13時よりオンラインで開催します。

本イベントは、生徒・学生の思考力・非認知能力をこれまで以上に高める教育を実現するために、オンライン授業や教育現場へのICT活用を効果的に行いたいと考えている中学・高校・大学関係者、塾・予備校関係者の教育関係者のほか、その取り組みに興味・関心がある保護者、高校生、大学生などを対象としています。


イベント詳細へ(画像をクリック)

【12/12(日)オンラインセミナー】生徒・学生の思考力・非認知能力を高めるための教育DX

対談者プロフィール

白崎 雄吾(ビジネス・ブレークスルー大学 事務局長)

リクルートグループ2社を経て2012年に(株)ビジネス・ブレークスルー入社。次世代リーダー養成プログラムの企画開発に従事。2017年からビジネス・ブレークスルー大学の統括に携わり現職。教員採用や講座開発に従事する傍ら、企業や中高生の他、Jリーグやラグビートップリーグのプロスポーツ選手向けの研修講師としても活動。アスリートのデュアル/セカンドキャリアを支援する『(一社)APOLLO PROJECT』理事を務めている。

山本 繁(大正大学地域構想研究所 特命教授)

2002年、慶應義塾大学環境情報学部卒。同大卒業式の翌日に教育NPO「NEWVERY」の前身を設立。大学改革、学生・若者支援の質的向上、社会起業家という生き方の普及に15年間つとめる。その傍ら、文部科学省高等教育局高等教育政策室専門調査員、中央教育審議会高大接続特別部会臨時委員、日本学術振興会大学教育再生加速プログラム委員、学校法人滋慶学園顧問などを歴任。2017年4月より現職。2019年1月にビジネス・ブレークスルー大学アドバイザーに就任。

BBT大学について

日本初の100%オンラインで経営学学士を取得できる大学として2010年に経営学部を新設。教授陣の6割が現役経営者、学生の約7割が社会人。大前研一が学長を務める本学では、“teach(教える)”ではなく学生が主体的に“learn(学ぶ)”するのを手助けすることに大学の役割があるという考えに基づき設計されたカリキュラムで、グローバル時代を生き抜く力の育成を目指している。2014年3月に1期生が卒業。2014年10月にはe-Learning大賞 厚生労働大臣賞を受賞。2015年12月に「ITソリューション学科」、「グローバル経営学科」、2017年1月に「履修証明プログラム」が、文部科学省「職業実践力育成プログラム(BP)」認定。

BBTについて

グローバル環境で活躍できる人材の育成を目的として1998年に世界的経営コンサルタント大前研一により設立された教育会社。設立当初から革新的な遠隔教育システムによる双方向性を確保した質の高い教育の提供を目指し、多様な配信メディアを通じてマネジメント教育プログラムを提供。大学、大学院、起業家養成プログラム、ビジネス英語や経営者のための勉強会等多用な教育プログラムを運営するほか、法人研修の提供やTV番組の制作などあらゆる年齢層に対し生涯に渡る「リカレント教育」を提供する。在籍会員数約1万人、輩出人数はのべ約5万人以上。また、1,300社以上の企業に対して研修を提供。2013年10月のアオバジャパン・インターナショナルスクールへの経営参加を契機に、生涯の学習をサポートするプラットフォーム構築をグループ戦略の柱の1つとして明確に位置づけている。https://www.bbt757.com

この記事の執筆者

ビジネス・ブレークスルー大学

BBT編集部
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